介護予防について
総務省によると介護保険制度が開始された平成12年の65歳以上の人口は2201万人。
平成17年9月現在で推定2553万人で16%増となっています。
団塊の世代が高齢者になる平成27年には高齢者人口は3743万人になると言われており、総人口に占める割合は28.7%、4人に1人以上が高齢者になる計算です。
このような超高齢化社会を迎えようとするなか、介護保険制度は5年ごとの見直しに伴い、平成18年に改正されます。(一部は平成17年より)
この制度改正により、介護保険制度の財政危機を回避し、高齢者の自立を一層支援していく方向が打ち出されました。
厚生労働省ではこれらの改革を「介護予防重視型システムへの転換」と位置付けています。介護保険の基本理念は「その人の生活・人生を尊重し、できるかぎり自立した生活を営めるように支援すること」つまり、「自立支援」を推進するのみならず、さらには社会活動に参画できる意欲ある高齢者社会の実現を目指しています。
高齢者は、身近な地域において、尊厳をもって主体的に生活を営み、その人らしい生活を生涯維持することを望んでいます。高齢者の自己実現はこの様な生活を基盤として達成されるのです。このため、高齢者が主体的に自らの生活を営む能力を維持・向上できるように支援することは、健全な高齢者社会の保持・増進につながるといえます。
「老年症候群」という言葉をご存知でしょうか?
青壮年者にはみられないが、加齢とともに現れてくる身体的および精神的諸症状、疾患のことを言います。具体的には、認知症、せん妄、うつ、転倒、誤嚥、失禁、腰背痛、寝たきり、医療疾患などを指します。これらは、一つ一つを個々に診ると言うよりは、生活の質の向上や日常の活動性の向上を妨げる多くの課題をどう解決するかという思考、つまり、高齢者一人一人をまるごと全人的に捉えて対応するという考え方が必要になります。
介護予防とは、まさにその大きな役割を担う事業といえるのです。
具体的には、厚生労働省は「地域支援事業」の導入、「新予防給付」の創設を行うとしています。現行の介護保険制度の「要支援」、「要介護1」を再編し、受給対象者以外の今後要支援・要介護になる恐れのある高齢者も含めることが特徴です。
介護予防の大きな柱になる事業は「地域支援事業」です。
対象は、要介護認定で「自立」となった人や、年一度の「介護予防検診」で必要と診断された人たちになります。転倒予防(フットケア)のほか、閉じこもり予防など、要介護状態になる前に「水際」で防ごうという主旨のものです。
もう一つの柱が「新予防給付」です
現行の「要支援」と「要介護」の人のうち、比較的症状の軽い人が対象になります。最大のねらいは、要介護度の軽い人に多い「廃用症候群」(生活不活発)を防ぐことにあります。風邪やケガで安静にしすぎて筋力が衰え、閉じこもりがちになると、心身機能が低下します。この人たちは、生活を活発にするサービスを受ければ改善したり、悪化を防げたりするといわれています。「介護認定審査会」で要介護2以上の人は従来の介護サービス。それより軽い人はさらに主治医の意見書などをもとに、認知症の進んだ人、脳卒中、心疾患、外傷などの状態が不安定な人は従来の介護サービスを受けます。
そこで要支援になると予防サービスが受けられるという事になります。
新たに新設される「地域包括支援センター」が、介護予防のケアマネジメントを行い、要支援者に対する筋力の向上、栄養改善、口腔ケアといったサービスを提供できるようになります。
単純に一時的に筋力が向上しても栄養・口腔ケアなどすべてのマネジメントがうまくいかなければ意味がないとか、低栄養は単に食欲だけの問題ではなく、口腔ケア・買い物に行くための体力の低下・主治医の食事制限の指示など多数の要素が絡み合っていることから介護予防においてはトータルマネジメントが大変重要であると考えられます。